「高専型卒業制作」導入推進トップページ > 活動報告 > 近隣河川領域の鉄鉱地下資源
材料工学科3年
安齋 巧/伊藤 絢/片平莉香/菊地光昭/櫻井亮輔/佐藤 健/澁谷 臨/照井貴大/メン
日本では古来から砂鉄を用いた製鉄が盛んであった。砂鉄が集積するのに好都合な自然条件(高波、台風など)が揃い、砂鉄が豊富に採取できるからである。
この実験を通し、地球環境に負荷をかけない鉄鉱資源の探査研究を行う。
閖上海岸
仙台七北田川
宮城県黒川郡
福島県二本松
それぞれの場所、地域から得られた砂鉄の光学顕微鏡組織写真
閖上海岸
仙台七北田川
宮城県黒川郡
福島県二本松
砂鉄の形状は多角形もしくは球状を呈している。大きさは福島県二本松の砂鉄は200〜300µmであるのに対し、黒川郡、七北田川の砂鉄は約200µmである。また、閖上海岸の砂鉄は約100µm程度で採取した砂鉄の中で一番小さい。この理由は採取された場所が海岸であり、絶えず波で洗われ擦られて微細化したと思われる。
一方、それぞれ2番目の写真には粒内に針状の組織が観察される。これら組織の違いと砂鉄を構成する成分を明らかにするためX線回折実験をおこなった。その結果を以下に示す。
閖上海岸の砂鉄には磁鉄鉱(■Fe3O4)、酸化ケイ素(▲Si02)、酸化チタン(♦TiO2)の回折線が観察された。
仙台七北田川の砂鉄の成分は閖上海岸の砂鉄と同じ結果であった。
黒川郡の砂鉄には磁鉄鉱と酸化ケイ素に加えてケイ酸鉄化合物(FeSiO3)の回折線が観察された。
福島県二本松の砂鉄には磁鉄鉱と酸化ケイ素に加えてMgFeSi2O6とTi6O11の回折線が観察された。
(組織写真中の番号は分析箇所を示す。)
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | - | - | - | 6.25 | - | 93.8 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | - | - | - | 43.9 | - | 56.1 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | - | - | - | 3.13 | - | 96.9 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | - | - | - | 41.1 | - | 58.9 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | 1.09 | 1.19 | - | 8.85 | - | 88.9 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | - | - | - | 31.3 | - | 68.7 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | - | - | - | 45.3 | - | 54.7 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | 3.11 | 1.76 | 1.78 | 1.57 | - | 91.8 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | 1.33 | 1.22 | 0.49 | 6.83 | - | 90.1 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | 2.07 | 1.49 | 0.80 | 5.85 | - | 89.8 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | 3.51 | 3.73 | - | 3.95 | - | 88.8 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | 3.14 | 1.13 | 0.01 | 28.0 | - | 67.7 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | 1.90 | 1.65 | - | - | 1.23 | 95.2 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | 1.77 | 3.20 | 0.83 | 24.5 | - | 69.7 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | 2.14 | - | - | 43.8 | - | 54.0 |
| 元素 | Mg | Al | Si | Ti | Ca | Fe |
|---|---|---|---|---|---|---|
| wt% | 0.63 | 1.30 | - | 1.71 | - | 96.4 |
組織観察により、海である閖上の粒は細かく、川で採取したほか3つは粒が粗かった。特に、二本松は山沿いのため粒が一番大きかった。
X線回折実験より、砂鉄に含まれる主な物質は、磁鉄鉱(マグネタイト)であることがわかった。全ての場所で、二酸化ケイ素(石英等)が混入した原因は、採取した際の洗浄の時に残ってしまったためと思われる。
SEMで分析した結果、砂鉄の粒の違いによって針状の組織を示す粒が観察された。全部の採取場所で得られた砂鉄にはマグネタイトだけではなくチタンも入っていた。針状になっているところは、ほかの部分と比べてチタンを多く含んでいることが判明した。二本松は、マグネシウムとカルシウムが入っていた。これは、採取した場所の近くに休火山(安達太良山)があるからだと想像される。
砂鉄の大部分は鉄の酸化物磁鉄鉱が占めているので、製鉄に適している。
また、4つの試料の中でチタンの含まれる量が比較的少なかったのは黒川郡の砂鉄であった。従って、今回の研究で一番製鉄に適しているのは、黒川郡の砂鉄であることが明らかになった。