活動報告

取扱いが容易な中等・高等教育機関用の光学実験教材の試作

知能エレクトロニクス工学科・教授
馬場一隆

光技術は、現在、様々な分野で利用されており、工学・理学等の分野における光学教育の重要性が高まりつつある。
しかしながら、光学実験機器は高価なものが多く、光軸調整等など操作に熟練を要する部分もあり、学生用実験教材の導入がさほど進んでいないのが現状である。
本制作は、いわゆる「電子ブロック」的な発想で、受講者が自ら手にとって扱うことができる光学素子を比較的安価に作製し、それらを様々に組み合わせることによって、反射、吸収、偏光、ビームの空間伝播といった光学の基礎から、波長多重光通信、光ピックアップ、糖度計等の応用技術まで、幅広く学ぶことができる汎用性のある光学実験キットの開発を目指している。平成22年度は、研究室に配属された学生諸君に、本助成をもとに、いろいろな光学素子や実験キットの試作に取り組んでもらった。以下に、その一端を示す。なお、学生の学年は平成22年度のものである。

簡易型ビーム状白色光源の試作

試作された白色ビーム状光源

情報通信工学科5年 / 多田盛 君

ビーム状の白色光源は分光実験を行う際に重要である。ここでは白色LEDとピンホール、レンズを組み合わせて2×2×13cm程度のサイズの右に示すような小型の光源を試作した。得られた白色ビームは、伝搬距離40cm程度の範囲で、スポットサイズが5mm以下に保たれた。今後は他波長のLED光源も組み合わせて、より白色に近い波長分布の光源に改善していく必要がある。

糖度計キットの試作

試作された糖度計キット

情報通信工学科5年 / 倉田大地 君

糖液とガラスの境界面に約60度の角度で光を入射すると、その反射率は糖度に依存して大きく変化する。60度ガラスプリズムを用いて、その1つの面に糖液を入れるセルを作り、他の2面にLEDとフォトダイオード(PD)を各々配置して、20度までの糖度を測定できるキットの試作を行った。実際に砂糖水の糖度を測定したところ、理論値とほぼ一致する実験結果が得られた。

市販樹脂製品を用いた波長板の試作

情報電子システム工学専攻1年 / 黒木翔太 君

厚さ1mm以下のアクリル板やセロハンテープ、セロハン紙など、市販されている安価な樹脂製品の中には複屈折性(光の偏光方向によって屈折率が異なる性質)を持つものがある。ここでは、このような材料を用いて、光ピックアップ等に使われている1/4波長板の試作をおこなった。一般に波長板には結晶材料が用いられるので大きなものは高価になるが、このような材料を用いることにより、大面積の波長板でも安価に製作できる可能性がある。