活動報告

「鉛」問題と有効利用

材料工学科3年
青田昇哉/石田奈月/大江周太/小野寺諒/後藤匠/佐々木幸登/佐藤大輝/佐藤稜真/中島賢也/渡邊忍

What Is Lead?

鉛(なまり) 英:Lead 元素記号:Pb

特徴
  • 錆びやすくすぐに黒ずむが表面に酸化皮膜を作る。
  • 低融点で柔らかく加工しやすい。

蓄電池 はんだ 錘(おもり) 顔料 電極などに広く利用される。
しかし、広く普及されている反面、有毒性が!!

一般摂取量(※)以上を摂取すると、頭痛や貧血、味覚障害、歩行障害の中毒を起こす可能性がある。そのため、鉛フリーの運動が広がり、水道管や顔料などはもちろん、鉛フリーはんだ等も登場した。高専の実験でも、鉛フリーのはんだを使用している。

※一般摂取量(産総研科学物質リスク管理センター):成人の場合 1日330μg / 1年120mg

あれ?鉛って捨てていいんだっけ?

広く使われている鉛だが、有毒性などを考慮すると、それ故に簡単に廃棄することが出来ない。
そのため鉛製品はリサイクルされている。その多くは、主に廃バッテリーである。
その方法は

この鉛のリサイクルを経済的な観点から見てみると、近年鉛の価格が高騰していることがわかる。

1993年1月 85円/kg
2011年8月 228円/kg
再生鉛 110〜130円/kg

これは

  • 海外の鉱山、精製工場の閉鎖
  • 中国市場における需要の増加、拡大
  • 高騰を見越した投機買いの集中などの影響によるものである。

このような流れから、新鉛の値上がりが影響し、再生鉛の価格も上昇している。2007年頃からは、廃バッテリーが中国に大量に流出していることから、国内での再生鉛の確保すら困難になっている。

これからの「鉛資源」

現在は、それに対応し鉛再生プログラムというものが施行されている。鉛リサイクルプログラムとは、バッテリー製造業者が作ったバッテリーに使われている相当の再生鉛を買いとるというものである。

しかし、なかには不法投棄などで回収しきれていないものもあり、今後の課題と言えるだろう。

放射線を渡る鉛シールド!!

最近、放射線問題が騒がれているが、鉛には放射線を遮断するという特性が知られている。そこで、私たちの班は本当に鉛はX線を遮断するのか?するとして、どの程度遮断できるのか?という疑問を解消するために実験を行った。

実験1 鉛による放射線遮断

果たして鉛がどの程度放射線を遮断できるか調べるために、私たちはX線回折装置により-スズ(Pb-Sn)箔とアルミニウム箔(Al)の放射線遮断能力をX線の透過性で評価して比較した。(純Pb箔が入手できず、Pb-Sn合金薄膜を使用した。)

測定方法

回折装置で回折した散乱X線の検出器直前に、各種箔を一定厚さ薄箔を貼り付け、枚数を増やしながらX線の郷土を測った。その結果は図1のようになった。

図 金属箔を透過した散乱X線の強度

実験2 XDT(蛍光X線分析装置)による分析

購入した鉛スズ箔は成分が不明であったため、XDTによりSn,Pbの各種成分を測定した。
その結果、Pbが42.8%、Snが57.2%(ともに質量%)であることがわかった。

実験結果について

図よりPb-Sn箔は64μmで、ほぼX線を透過しなくなったが、一方Al箔では透過を迎えるのに必要な厚さは700μmを超えた。これより。Pb-Sn箔のX線の遮見断能力がAl箔に比べてきわめてかなり高いということがわかった。X線の物質透過は、物質の質量吸収係数に関係していて、Pbの235に対して、Alは49.6しかない。これが、実験結果のX線透過率の差となって現れた。

考察

実験1より鉛スズ箔は高いX線遮断能力をもつことがわかった。これはPbが物質としての密度と電子の密度が高い(K、L、M、N軌道を持っている)ため、X線を効果的に遮蔽することができ、X線の質量吸収係数はアルミニウムに比べて鉛は高い値を持っている。

このように鉛は、単に危険な物質として扱われているが、色々な有用性を備えているので、正しい知識を持って扱わなければいけないと思った。