活動報告

高専改革推進経費事例集【教育】

高専名 仙台高専 区分 教育体制
事業名 創造力のある実践的技術者育成のための「高専型卒業制作」導入推進
−チームラーニングによるコンテストを核としたGPA型制作科目の導入−
代表者名 小林 仁 メール kobayasi@sendai-nct.ac.jp
経費 総額20,000千円 (H22年度10,000千円)
採択年度 H22年度 実施期間 H22年〜H23年(継続中)
事業の対象 本科学生、専攻科学生、地域の技術者 等
実施主体・体制 全学、地域産学官(名取市,県立ガンセンター等) 等

事業概要

図1 本取組で構築する教育システム

本事業では「モノ造りの高専」の教育研究を基に,全学科教職員チームの指導の下に学科や学年を越えた学生チームが自ら設定したテーマに対して,知識や技術を複合融合させた「モノ造り」による解決策を提案する.提案はパネルと制作物としてまとめ,対外的なコンテストでプレゼンテーションやデモンストレーションを行い,地域(市民,産学官)による評価を基に単位を与え,提案作品を基に地域産学官により人材育成の評価がなされる科目を整備する.

実施環境は,核となる高専型教育研究の学内コンペティションを行い,各校教職員からアイデアを募り,各校校長等を選定委員として選定し,予算等の支援を行ない,教職員・学生チームで纏め学内で公開することで整備する.コンテスト・単位認定・評価は,本校のGP等のものを基に,各校で独自のものを整備する.

事業実施の背景とねらい

近年,高専は創造力のある実践的技術者の育成に取組んでいるが,目標通りの能力の育成が全学的に為されているとは言い難い.つまり,創造力のある実践的技術者には,現在各校で実施されている知識や技術の実験・実習やその実用だけで不十分であり,分野を越えて既知のものを組合せる複合融合力も求められる.確かに,ロボコン等の各種コンテストや創造工学系の科目では,与えられた課題に対して分野を超えたアプローチで挑む提案もあり,複合融合力が育成されているが,参加学生は限定されて,育成能力を客観的に評価する体制が整備されているとはいえない.このように,創造力のある実践的技術者を全学的に育成・評価する体制が必要と考え,本事業ではチームティーチングとグループ学習によるモノ造型コンテスト,対外評価結果と作業時間を基にGPA(Grade Point Average)方式で単位認定を行う体制を構築し,制作科目として整備することを目的とする.

事業の具体的内容

図2 コンテストの作品例

現採択事業の間中には,(1)チームラーニング環境、(2)モノ造型コンテスト環境、(3)GPA方式単位認定環境、(4)人材評価システム、(5)制作科目の5項目の整備を目標とし,名取キャンパスにおける事業の整備,広瀬キャンパスへの事業の展開及び,本校CEC(CO-OP Education Center)を核として,東北6高専へ展開できる事業モデルを構築する.

実行組織は,(1)本校校長及びCECによる全体の企画[P]に沿って各校長の環境整備等の協力を得て総括を担い,(2)各校の学習推進室等が活動の計画[P],改善[A]を担当し,(3)各校の教務関係委員会が関連規則や科目整備[D],学生関係委員会が学生活動の管理・支援[D]を経て,(4)担当教職員チームの下で学生チームが実行[D],(5)産学官が評価[C]を担当する,PDCAサイクルを成し各校独自のスパイラスアップする体制とする.

事業の具体的な成果・達成度評価

平成22年度は,(1)名取キャンパス5学科の学生・教職員110名程度がチームラーニングを実施し,広瀬キャンパスや姉妹校ドイツFFB校の学生・教職員50名程度参加した取組が実施でき,(2)本校100名程度の参加学生が自ら設定したテーマの解決策をA1版パネルと制作物まとめ高専祭の対外コンテストで実演及び提案されており,(3)参加頂いた地元の300人超による評価に基づきGPA方式で24名の学生に単位が認定され,(4)コンテストに出展された全作品を基にして,地域産学官により,A複合融合力(目標値2),B独創力(目標値2),C実用力(目標値3)の5段階評価としては,全ての項目において当初の目標が達成されている.一方,キャンパス連携では,(5)名取・広瀬キャンパスの全教職員を対象とした高専型教育研究制作のコンペティションを行ない13件の募集があり,その中から特に複合融合性,実用性,独創性の高い6件を選定し,予算等の援助を行ないテーマ例として纏めている.

表2 人材育成評価の結果

現状/今後の展望・課題

22年度は,採択以前は名取キャンパスで行なっていたコンテスト型科目を高専型教育研究制作へと発展させ,広瀬キャンパスへの展開も開始している.
23年度は,広瀬キャンパスでもコンテストを開催する計画であり,また,本校のCECを核として,東北6高専の教職員を対象した高専型教育研究制作のコンペティションを行い,各高専独自の高専型教育研究のテーマを整備することにより,24年度以降に各高専でのコンテスト開催,コンテストでの評価に基づく単位認定,東北6高専共催のコンテスト実施及び全高専への展開へと繋げていく体制を構築する.
さらに,将来的には,高専型教育研究制作科目の整備を推進し,大学で主として行なわれる「研究のための研究」と一線を記す,「モノ造りのための研究」を核とした,モノ造りと研究を両輪とする,「モノ造りの高専」として独自の学士制度や規準を整備し,高専学士認定制度の確立に資することを目指している.